健康診断で心電図異常を指摘されました。どうしたらよいですか?

心電図異常

健康診断で行う心電図検査は簡単な心臓病のスクリーニング検査で、異常のある方をひっかけて、本当に治療を必要とする方をふるい分ける性質のものです。ですので心電図異常を指摘された場合は、本当に治療を必要とするのか否かを判断しなければいけませんので、循環器専門医を受診することをお勧めします。心電図異常を指摘され、実際治療を要する方は、1-2割程度です。

心電図異常の場合、どのような病気の可能性がありますか?

息切れは下記の通り、まずは大きく、①心臓疾患、②呼吸器疾患、③その他、に大きく分けることが出来ます。その中で一番重要なことは、命に関わる心臓疾患を適切に診断・治療し、悪化しないようにすることです。

不整脈
一番多い所見は期外収縮ですが、ほとんどが異常がなく経過観察となる方が大半です。また完全右脚ブロック、完全左脚ブロック、不完全右脚ブロック、1-3度房室ブロックなどは一部治療を要することがあります。その中で大人の完全右脚ブロックは問題ありませんが、小児の不完全右脚ブロックは、生まれつきの先天性心臓疾患の可能性があるため精査が必要です。完全左脚ブロックや房室ブロックは、心臓に異常があることが多く、特に動悸や息切れ、胸部不快などの症状がある時は、かなりの確率で治療をしなければならないことが多く、要注意です。
またブルガダ症候群という突然死をきたしうる不整脈の方も稀ですがあります。
不整脈はさまざまな種類がありますが、健診での狙いは、不整脈による突然死の可能性のある患者さんを見つけ出すことにあります。
虚血性心疾患
虚血性心疾患の可能性がある場合は、所見欄に「心筋虚血、心筋障害、Q波、R波減高、下壁梗塞」などと記入されています。その中の一部に過去に心筋梗塞を起こしている患者さんが含まれることがありますので要注意です。
また過去に前胸部痛を経験したことがある患者さんや、糖尿病や糖尿病、脂質異常症を持っている患者さんや喫煙者も、虚血性心疾患のリスクが高く要注意です。
その他
「左室肥大、心肥大」と書かれることがありますが、ほとんどが高血圧による心臓の筋肉の肥大を認めているということです。どの程度肥大があるかは心臓エコー検査で確認をしますが、将来心筋梗塞などのリスクになりやすいので、高血圧の治療を行い、将来の心臓疾患の予防に努めることが重要です。

心電図異常の場合は、どのような検査を行いますか?

まずは再度心電図を取り直します。心電図は経時的に評価をすることがとても大事なのです。以前の心電図があるようであれば理想です。以前の心電図と比較ができますので、健診での心電図異常の意味づけがより意味のあるものになります。つまり、以前の心電図と比べて変化あるようなら精査が必要ですし、変化がないようなら精査をしなくてもいいと判断ができます。
初回の心電図異常や、心電図変化があるときには、心臓の動きやサイズを確認するために心臓エコー検査は必須です。不整脈を疑う時は、24時間心電図(ホルター心電図)を実施し、長時間心臓の動きを確認する検査を行います。また不整脈の数が多かったり、バラバラの脈拍の場合は、心不全になりかかっていることもあり、その重症度をみるために、採血(BNP)を併用します。虚血性心疾患が疑われる時は、運動負荷試験、心臓CT検査で冠動脈の狭窄の程度を確認します。

どのような治療を行いますか?

不整脈 不整脈に対しての薬物療法を行います。
薬物療法が無効であれば、カテーテルアブレーションやペースメーカー植え込みなども検討していきます。
虚血性心疾患 心臓の血管の狭さや詰まり具合によって、カテーテル治療か冠動脈バイパス術を選択します。
その他 心肥大についてはほとんどが高血圧によるものなので、食事による塩分指導や運動療法をまずは実施し、改善がないようならお薬で管理をします。

健康診断は受けたほうがいいのですか?

健康診断は、健康でいる方が本当に健康であるかどうかを判断するスクリーニング検査ですので、心電図異常を指摘されても多くの方は異常ないことがほとんどです。しかし健康診断はあくまでもスクリーニング検査ですので大半は空振りでいいのです。健康診断の意義は本当に治療の必要な1-2割の方を見つけ出すのが目的です。ですので健診結果が「要精密」と書かれたら一度は必ず循環器専門医を受診して問題ないかどうかの判断を仰ぐことが大切です。
病気をしてからお金と時間を費やすことになるよりも、年1回1日だけお金と時間を使い、事前対応する方が意味があるのではないでしょうか?